地面の底の病気の顔
地面の底に顔があらはれ、
さみしい病人の顔があらはれ。
地面の底のくらやみに、
うらうら草の茎が萌えそめ、
鼠の巣が萌えそめ、
巣にこんがらかつてゐる、
かずしれぬ髪の毛がふるえ出し、
冬至のころの、
さびしい病気の地面から、
ほそい青竹の根が生えそめ、
生えそめ、
それがじつにあはれふかくみえ、
けぶれるごとくに視え、
じつに、じつに、あはれふかげに視え。
地面の底のくらやみに、
さみしい病人の顔があらはれ。
地底的病顏
自地底浮現出一張臉、
一張孤寂的病人的臉。
自地底的漆黑中、
草芽遲遲新生、
鼠洞初露、
巢穴裡亂成一團的、
無數的毛髮震顫、
冬至之時、
自孤寂病態的地面中、
新生出纖細的青竹的根、
新生、
這看起來多麼哀戚、
看起來像煙霞一般、
真真凝望出無比的哀愁。
自地底的漆黑中、
浮現出孤寂的病人的臉。
萩原朔太郎《吠月》,青空文庫*:https://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/859_21656.html
*日本國內著作權已經進入公有領域的文學作品都可以在青空文庫免費閱讀。